子どもの予防歯科
お子さまの定期検診(3ヶ月おき)
「小児歯科」の項目でも紹介していますが、当クリニックでは小児の皆さまのお口の健やかな成長を目的として、乳幼児から中学生まで(高校生からは成人と同じ内容になります)、幅広くお子さまの虫歯や歯肉炎の予防を推進しています。
「お子さまの定期検診」はこの目的のために欠かせない取り組みと考えております。
定期検診の内容
虫歯検査と歯並びなどお口の状態のチェック
虫歯の早期発見に努め、ひどくならないうちに早期治療を行います。歯並びだけでなく口腔習癖(指しゃぶり・お口ポカンなど)や舌小帯・上唇小帯の付着位置異常もチェックしていきます。
歯ブラシ指導
ご本人の年齢に応じた歯磨きの練習。保護者の方の仕上げ磨きを指導します。
フッ素塗布(幼児~小学生まで)
定期的なフッ素塗布は歯の表面に酸に溶けにくいフッ化カルシウムの薄い構造を作り出します。これが虫歯予防につながります。ただし、この構造は薄いので日常生活の中でだんだん剥がれ落ちてしまいます。
したがって、3ヶ月に一度程度、定期的にフッ素を塗る必要があります。
よくあるご質問
Q.フッ素は危険?ときたまそんな相談を受けますが…
工業製品としてのフッ化水素などは人体に有害です。しかし、歯科で用いられるフッ素はフッ化ナトリウムが主剤であり安全性が高いです。主な製剤のフッ化ナトリウム濃度を見てみましょう。
歯科クリニックのフッ素塗布の製剤 9,000ppm
成人用歯磨き粉 1,500ppm
6歳未満対象の歯磨き粉 500ppm以下
もちろん大量摂取することは危険ですが、フッ素の致死量は体重1㎏当たり6,000ppmですから、10㎏のお子さんで60,000ppm、20㎏のお子さんで120,000ppmとなります。
とても摂取できる量でないことはお分かりいただけると思います。しかも、フッ素塗布は歯に塗る処置であり、直接に飲むというわけではないので、ますます少量しか消化器系統に流れ込みません。
Q.フッ素入り歯磨き粉はどんなのがいいの?…これもよく聞かれます
前記したように、歯科用のフッ素製剤はフッ化ナトリウム主体で安全性は高いです。しかし、小さなお子さんが、大人用のフッ素入り歯磨き粉を毎日使っていると、歯に白斑(ホワイトスポット)ができてしまうことがあります。審美的に問題が生じることもあります。
そこで、一般的には以下のような分類(細かい数字の違いは文献によりあります)から、年齢に合ったフッ素入り歯磨き粉を選ぶことが推奨されています。
6歳未満 フッ化ナトリウム・500ppm以下
15歳未満 フッ化ナトリウム・1,000ppm以下
15歳以上 フッ化ナトリウム・1,500ppm程度
PMTC(中学生)
お子さんが中学校に進学されたら、フッ素塗布ではなく「PMTC」に移行します。PMTCはプロフェッショナル・メカニカル・トゥース・クリーニングの略で電動の低速回転シリコンブラシにナノ粒子研磨剤を付けてバイオフィルムをこそぎ落とします。バイオフィルムはお口の中の細菌が互いに結びついて歯の表面に粘着性の高い膜状の構造を作り出したものです。細菌の棲みかであり、虫歯や歯周病の原因になります。とても強く歯の表面に結びついており、歯ブラシでは取れません。PMTCはこの膜を取り除く作業です。
シーラント処置
虫歯予防の一環としてシーラント処置もお勧めします。「シーラント」は奥歯の歯の溝を一層だけ柔らかい樹脂で覆う処置です。奥歯には溝があることはご存知だと思います。「溝」の部分は虫歯になりやすいことでよく知られています。特に、乳歯や生えたばかりの永久歯の奥歯の溝は深めになっていて清潔な状態を保ちにくいのです。
そこで、この「深い溝」を一層だけ樹脂で埋めて浅くする「シーラント」を行うことで、歯ブラシが届きやすくなり、虫歯になるリスクを軽減させることができるのです。
しかも、当院のシーラント材にはフッ素徐放性(少しずつ材料からフッ素が染み出す性能)がありますので、より効果的です。
シーラントは歯を削るわけでもなく、埋めるだけなのでお勧めの処置です。